神の寵愛をえた音楽家モーツァルト

モーツァルトのフルネームはウォルフガンク・アマデウス・モーツァルトである。ミドルネームのアマデウスとは「神に愛された」という意味で、名は体を表すの言葉通り、正にGifted、天から与えられた豊かな才能を持つ人物であった。4才にしてすぐに楽曲を覚え弾き、まもなく作曲も行うようになる。そして、彼は12歳でオペラを作曲している。おそらく、現代でも彼の作曲した曲を知らない人は殆どいないと言える程、曲も作曲家としても知名度が高い。しかし、一方で、彼の日常生活での行動はADHDの典型ともいえる、かなり滅茶苦茶な状況であった。終始落ち着きがなく、常に手足を動かし、奇声を発しては人々を驚かせた。また、音楽の教師としてのレッスン中、いきなり椅子を抱えてぴょんぴょん飛び始めトンボ帰りをした事も記録されている。彼の生徒が回想録にのせている、浪費癖も相当なものであった。彼はリサイタル、演奏会、個人レッスン(王様を含む)で当時のウィーン統合病院院長の8倍以上の収入を得ていたが、それを持っても常に借金をする生活を送っていた。お金は専らギャンブルの負けた分の穴埋めの返済に使われていた様子である。周囲は彼の事を「トランプ賭博やビリヤード賭博に血道を上げる賭博狂」と表現している。ちなみに1984年に映画化された『アマデウス』は、そんな彼の実態を知ることが出来る面白い映画である。史実とは多少異なるものの、天才に嫉妬し暗殺を試みた同時代の秀才音楽家サリエリ視点で書かれた物語である。